
米国の医師会雑誌JAMA(The Journal of the American Medical Association)の姉妹誌である、JAMA Oncologyに共著論文『Association Between Telomere Length and Risk of Cancer and Non-Neoplastic Diseases』が掲載されました(2017年2月23日付け)。
内容としては、ヒトには23の染色体(遺伝子)があるのですが、その先端にあるテロメアという部分の長さが長いとある種の癌の発生に関係する、という結果でした。患者群40万人と健常群100万人の遺伝子データから導かれたもので、研究の規模もかなり大きくなっています。我々の研究グループも日本人の不安症のデータを提供しましたが、精神疾患とテロメアの長さとは直接の関係はなかったようです。
うつ病ではテロメアの長さが短いという報告もありますが、テロメアと老化の関係も言われており、まだまだ結論は出ていませんが、今後も注目の研究領域です。
右の図では、神経系の細胞癌(グリオーマ)や肺癌、メラノーマといった癌ではテロメアが2~6倍長くなっているという結果になっています。今回の報告では、精神疾患とテロメアの長さには関係が見られませんでした。