
第10回不安症学会学術大会(3/16-17:早稲田大学東伏見キャンパス)のシンポジストとして発表してきました。 タイトルは『最近のGWASからみた不安症と双極性障害』。GWASというのは、全ゲノム関連解析(genome-wide association study)で、すべての遺伝的個人差のある部位を一気に調べる解析手法です。
最近は遺伝子解析が発展しており、精神疾患どうしの遺伝的重なり(pleiotropy:多面的発現といいます)が注目されています。双極性障害は気分の浮き沈みが強く出てくる精神疾患ですが、不安症(パニック障害や社交不安障害、強迫性障害)が先に出現してくる方も多いという疫学統計結果も出ています。 今回は、最近の遺伝子解析の結果から、性格要因と精神疾患の関係について話をしました。 性格要因にはビッグファイブという神経質(Neuroticism)、外向性(Extraversion)、開放性(Openness)、統制性(Conscientiousness)、協調性(Agreeableness)がありますが、双極性障害と統合失調症が開放性と、うつ病や不安症が神経質と遺伝的方向性が近いという結果が示されています(図)。
精神疾患には病前性格という考え方がありますが、不安になりやすい人はネガティブな考え方をしやすい(神経質)傾向があることや、うつ傾向になりやすいということが遺伝的な解析結果からも示された、ということになります。